そこで音楽教育の話に移りますが、子供の音楽的感性を引き出すには3才頃までに刺激を与えなければなりません。
大脳の中で“左脳”は計算や言葉など論理的な思考を、“右脳”は音楽や直感力などの感性をそれぞれ担当すると言われます。
音楽をつかさどる“右脳”へのよい刺激を、生まれてから3才ぐらいまでに与えることは、その人の一生の感性を決定づける程の意味があります。
右脳へのアプローチは多くの教育者たちがいろいろな形で行なっていますが、ただ間違いのないことは、本物に触れるということです。音楽においてはほんものの「音・演奏」を聞くということです。バッハ・モーツァルト・ドビッシーを一流プレイヤーの演奏で聞くことです。
いかにも消極的に見える教育ですが、このことを12才ぐらいまで続ける必要があります。そして、この間「本来生まれながらに備わっている感性を引き出すときの妨害になること」をやってはいけないという事です。
間違ったものをインプットしてしまうと、後になって感性を入れようとしても脳が受け付けないと言うしくみになっているからです。
つまり、早期英才教育には、やってはいけないことがたくさんあるということです。幼児期に優れていると思われた感性も5・6才頃から学習期に入り陰に隠れますが、決して消えてなくなってしまったわけではありません。やがてその力を発揮できる時までの充電期間と言えでしょう。
そして、知識に裏打ちされた形でその姿を現わします。このように知性と感性が幾重にも重なり合ったような人生が生物学的に最も安定したものだということができます。
スペインのバルセロナで同時期に育った3人の天才芸術家がいます。
ピカソとカザルスとガウディは少年期に確かに共通する何らかの刺激を受けたに違いありません。その刺激が何であったのか探って行きたいと思います。(終)
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