思春期以降の音楽学習
言葉による音楽の説明とは
話し言葉や文章で音楽を言い換えることは容易なことではありません。その証拠に、紀元前何世紀ものいろいろな古代文明の時代に音楽が存在していたにもかかわらず、その伝承方法は演奏や歌の口移ししかなく、現代にまで伝わってきたきちんとした音楽の記録はありません。紀元前のギリシャ劇の劇音楽には、現代の教会旋法(クラシックの音階やジャズのモードに当たる)と同じ名前が付けられているにも関わらず、現代の旋法と同じかどうかは正確には分かっていないのです。なぜなら、楽譜等の記録方法が存在せず文章でのみ残されているので、実際の音は文章からの想像でしか再現できていないのです。
現在の五線楽譜が完成するのは、さまざまな試行錯誤が繰り返された果ての16世紀頃であると言うことからも、音楽を言葉や書物で伝える難しさが分かります。五線楽譜は現代考えられる最も合理的な記録方法と言う実績と評価があるものの、その楽譜を演奏するには演奏者によってさまざまな解釈が可能であるという理由で、正確な伝承方法とは言うには未だ疑問が残るという学者もいます。
五線楽譜の完成までの苦労を考えても、言葉で音楽を表現したり伝えたりと言うことはたいへん難しいことなのです。
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