長曽我部, 長曽我部誠壁, ミューズ音楽院, 音楽教室 みゅーず福岡, ミューズコンサーツ, 世界旅行, firenze, newyork, NEW YORK, paris, パリ, ニューヨーク, フィレンツェ, 紺野美沙子, パールマン, ダスティン・ホフマン, ミルバーンホテル, milburn, エッセイ, essey,

ベニス編2

ホテル・リアルト


Z子の悲劇 ~ベニス編2~

「水の都」と言われるほどですから、ベニスには、普通、春か夏に行ってみたいと思うのが人情です。暖かな季節に、ゴンドラにでも揺られながらノンビリしてみたいと思いますよね!?

でも、夏に初めてのベニスに行ったぼくは「2度とベニスには来るものか」と思ったものでした。何故なら、運河に囲まれたヴェニスは、春から夏にかけての時期、ドブのような異臭に包まれるからです。それでもベニスに観光客が途切れることがないのは、街にそれ以上に魅力があるから、そして、そんな悪臭が気にならない人たちが多いせいでしょうけど・・・・・。

夏の悪臭だけにとどまらず、特殊な立地にあるベニスは、◎ホテルの建物が古い(古いというよりオンボロが多い)◎ほとんどのホテルにエレベーターはない◎シャワーやバスが付いている部屋は良いほうで、付いていても水やお湯の出が極めて悪い等々・・・、ぼくにとってベニスでの滞在は快適からはほど遠いものなのです。しかも、フィレンツェなどに較べると宿泊料がひと桁違うくらい高いのです。

エレベーターがないため、部屋への昇り降りは階段、それも複雑にいくつもの建物を無理矢理つないだような構造のため、随分と歩かなければならなかったり、迷子になったりと苦労も絶えません。チェックインの時はポーターが荷物を運んでくれて助かるのですが、チェックアウト時は大変込み合うためポーターがなかなか来てくれません。現に、ぼくはサンタ・ルチア駅発の列車に遅れそうになったので、迷路のようなホテルの階段をグルグルと自らのサムソナイトを抱えて運んだものでした。

Z子とぼくの二人分の荷物が詰まったサムソナイトを抱えて最後の急な階段を下りたところにフロントがありチェックアウトを済ませて、「ホテル・リアルト」を後にしました。ホテルの玄関を出たところにちょうどヴァポレットの乗り場があり、船もすぐにやって来て、チェックアウト後は苦労なく水上バスに乗ってサンタ・ルチア駅に向いました。

そして、またまた「乗って気が付く愚かさ」を嘆く事件がZ子とぼくに降りかかってくるのです。荷物を船に積み込んでホッとしたぼくは、最後のベニスを船上で満喫しようとデッキに出て船からの水辺の街並みを眺めていました。カッコつけて写真でも撮ろうか、ポケットに手を突っ込んでポーズをとったその瞬間、ぼくの顔面から血の気が引いてしまいました。ぼくのポケットには、今、チェックアウトしてきたホテル・リアルトのセイフティ・ボックスのキーが入っているではありませんか!セイフティ・ボックスのキーを持っているということは、セイフティ・ボックスに預けていた大事なものを置いて来てしまったと言うことなのです。その大事なものとは、パスポートと現金、航空券などのクーポン一式や旅行傷害保険証等、どれがひとつ欠けても旅行が続けられないというものばかりです。

ただでさえ、列車の発車時間ギリギリにチェックアウトしたZ子とぼくだけに、時間のゆとりはありません。さて、Z子の運命は如何に!(つづく)

LinkIconベニス編3へ

LinkIcon世界の旅Topへ

ページの先頭へ