80年代、若きミュージシャンたちの青春
思い出のミルバーン・ホテル
1980年代、ニューヨーク・マンハッタンのウエストサイド76丁目ブロードウェイからちょっと入ったところにそのホテルはあった。ミルバーンホテルと言っても、学生や低所得者が多く住む、その頃すでに築70年ほどのオンボロ・ビルディング。ジュリアード音楽院に通う地方出身者や外国人学生が多く住み、将来の大音楽家を夢見て日々、練習に明け暮れていた。家賃を安くあげるため、ルームメイトを見つけて、狭い部屋の中でレンタルのピアノを交代で練習し、練習に疲れるとどこかの部屋に集まってゴシップ話でストレス解消。誰かの誕生日、歓迎会、送別会と託つけて貧しい生活費から精一杯の手料理でおもてなし。誰かと誰かがくっついたり、別れたり。ミルバーンホテルには、胸一杯の青春があった。
その頃のミルバーンの住人たちはマリーナ・ピッチニーニ、ジョンパーカー・木村、長島圭太、熊本マリ、小川典子、清水信貴、加藤知子、高関健、木幡律子、若尾圭介、藤原清登、岡本真ほか。それぞれが、アメリカから日本、日本から世界へと活躍の場を広げている。
彼等が去った後、ミルバーン・ホテルは1993年にリニューアルして、高級ホテルへと変貌を遂げた。
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