長曽我部, 長曽我部誠壁, ミューズ音楽院, 音楽教室 みゅーず福岡, ミューズコンサーツ, 世界旅行, firenze, newyork, NEW YORK, paris, パリ, ニューヨーク, フィレンツェ, 紺野美沙子, パールマン, ダスティン・ホフマン, ミルバーンホテル, milburn, エッセイ, essey,

ベニス編4

サン・マルコ寺院


Z子の悲劇 ~ベニス編4~ 

ベニスを代表する風景は、ゴンドラとサン・マルコ広場の周辺の景色です。サン・マルコ広場はテレビや映画の舞台としてもしばしば登場するので、誰もが見覚えのある場所だと思います。ヨーロッパで始めてコーヒーを出したカフェ・フローリアン、ベニス共和国を支配したドゥカーレ宮殿、純金の装飾がまばゆいサン・マルコ寺院(写真)などがあり、何と言ってもサン・マルコ広場は仮装行列で有名なベニスのカーニバルの舞台でもあります。


サン・マルコ寺院の真裏のホテル・アル・アンジェロに滞在したZ子とぼくは、ある日曜日の朝、サン・マルコ寺院の中を見てみることにしました。というのも、いつもは長い行列ができていて列にならんで見るほどの興味が湧かなかったZ子だったのですが、この朝は日曜ミサが行なわれるためか、観光客もおらず、すんなり入れたものですから・・・。超豪華な金箔の天井画などをひと廻りして、ミサが始まる気配を感じたZ子とぼくは、礼拝堂の前方の席に座ってミサに参加することにしました。何しろ、聖マルコの遺体を奉ってある由緒ある寺院で行なわれるミサに参列できるなんて、一生の思い出になると思ったのです。

パイプオルガンの演奏や聖歌隊のコーラスも感動でしたが、訳がわからないとは言え神父さまのお説教も大変神聖なものでした!?

献金も終え、30~40分のミサが終了すると、信者たちが神父さまの前に列を作って何やら儀式を行なっています。後で知ったのですが、これは正餐式と言ってパンをキリストの肉体に見立て、神父さまからパンを与えてもらう神聖な儀式で、正式な信者だけが受けられるものなのだそうです。Z子とぼくは、何も知らずに皆に付いて列に並びました。もちろん、キリスト教徒でもありません。

Z子とぼくは、となり同士の列に並び順番を待ちました。まず、ぼくの順番が来て前の人のする通り神父さまの前で口を開けて、神父さまからパンを舌のうえに置いていただきました。この教会では、パンではなく海老せんべいの小丸のようなものでしたが・・・。無事、正餐式を終了。アーメン。

となりの列を見ると、Z子が神父さまの前で途方にくれています。前の人たちの様子が見えなかったようで、どうして良いのかわからず、神父さまの前で金縛り状態でにらみ合っています。神父さまも言葉が通じないので困っている様子。ぼくが、「口をあけろ!」叫ぶと、Z子はようやく理解したようで、小丸を口に入れてもらい何とか正餐式を終えることができました。

この時の神父さまの表情は迷惑そうなあきれ顔で、「ミサは、観光客の来るところじゃないぞ!」と言わんばかりでした。言葉が通じれば、きっと怒鳴られていたことでしょう。Z子にとっては、とんだ凄惨な式となってしまったのでした。

知らないこととは言いながら、神聖な儀式を汚してごめんなさい、聖マルコさま!ここに懺悔いたします。

LinkIconZ子の悲劇Topへ

ページの先頭へ