パリ番外編2
エコノミークラス症候群
Z子の悲劇 ~パリ番外編 2~
最近、エコノミークラス症候群という言葉をよく耳にします。サッカー日本代表の西沢選手が、この病名で入院したことは、話題になりました。そして、Z子とぼくにもエコノミークラス症候群の洗礼を受ける事件が起こったのです。
徹夜で空港に向ったZ子とぼくは、無事、JALのパリ行きのボーイング747機に乗ることができました。ラッキーにも2階席に取ることができ、眠っていないにもかかわらずちょっと良い気分で空の旅が始まりました。2階席は、エコノミーでも少しゆったりとしていて、小さな空間だから必ず目が届くところにスチュアーデスさんがいてサービスも行き届いた感じがします。
パリに向う期待感と特等席に座った喜びで、Z子とぼくはかなりハイな精神状態にありました。機内サービスも至れり尽せりで、かなり気分良くプレイン・ライフ(PLANE LIFE)を楽しむことができました。普段、あまりアルコールを取らないZ子もワインをお代わりするほど気分良く過ごしていました。「きのうは徹夜だから、飛行機でぐっすり寝ようネ!」と言っていたのに、寝ることも忘れてエンジョイしていたのです。
あまりにもハイテンションのため、トイレに立ったZ子の存在も忘れて、ぼくは機内放映の映画に興じていました。多分、30分程経ってZ子が戻ってきたのだと思います。「遅かったネ」ぐらいの会話はあったでしょう。そして、再び、ぼくは映画を見続けました。(日本公開前の作品だったので・・・。)
映画も終わって、Z子とぼくは、ガイドブックを見ながら「パリに着いたら何を食べようか?どこに行こうか?」などと、他愛もない会話にも胸を膨らませて盛り上がったものです。それにしても、スチュアーデスさんがしょっちゅうご機嫌伺いに来るので、不思議に思ったぼくは、「どうして何度もスチュアーデスさんが来るんだろう?」と、Z子に聞いてみました。すると、「私、さっきトイレに行った時、倒れたのよ。」と言うじゃありませんか。スチュアーデスさんに詳しい話を聞いてみると「トイレの前の通路で倒れ、手すりで頭を打ってしばらく気を失っていた。」らしいのです。
気が付かなかったぼくもぼくですが、スッチ-さんもぼくに知らせてくれて良かったんじゃないかと思います。今ごろ言ってもしようがないですけど・・・。何と言っても、黙って戻ってきて、何も言わないZ子が一番奇妙ですよね!? でも、スッチーさんはパリの病院を手配してくれたり、機内ではファーストクラス以上(?)の扱いをしてくれて、感謝しています。
Z子の場合、エコノミークラス症候群と言うものかどうかわかりませんが、徹夜と飲酒が重なり、機内での気圧の変化なども影響して貧血状態になったと、ぼくは診断しています。ちょうどZ子が倒れた通路の近くに座っていたイスラエル人のお医者さんが、適当な処置をして下さったそうです。
この後、このボーイング747機の2階席では、60才台位の日本人男性が同じ場所で転倒する事故が起こったのです。そして、パリ到着後、今度は、ぼくがレストランで倒れることになるのです